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闇夜を駆ける二匹の猫 [小説:Dolly Shadow]

アヤセ
 
 さぁ、これでゲームセットだ。
 言い残すことはあるかい? 懺悔する気があるなら、聞いてやるぜ。
 ……この似非神父め?
 あはは、そうだな。そう見えるかもしれねーな。
 確かに、オレにはもう神父の資格はねぇ。何しろ、教会を破門されちまったからな。
 でも、だからオレが似非だと?
 オレに、神様の声が聞こえないとでも?
 ああ、聞こえるさ。アンタの声なんかより、ずっとよく聞こえてるぜ。
 教えてやろうか? 神様は、酷くお怒りだ。
 何しろ、オレの神様は我らリヴリーを愛して下さっていてね。その命を奪うアンタら魔物共を、決してお許しにはならないんだと。
 オレは、そうやって神様の声を聞いてきた。
 教会にいる時からずっと…… 知ってるか? ただ祈ってるだけが、教会の務めじゃないんだぜ?
 ああ、そういう清らかな神父様もいるだろう。
 だが、オレはそうじゃない。
 正直言って、オレは別にアンタに恨みはねーよ?
 でも、オレも生きてくには金が必要でね。全く、野良猫ってのは辛いもんだぜ。
 アンタをGLL警察に突き出せば、オレの神様はきっと喜んで下さる。
 ついでに、オレも僅かの金がもらえるってわけさ。
 あはは、確かに似非神父かもな。全国の神父様に懺悔して来なきゃだ。あははは。
 
 さてと、そろそろタイムオーバーだ。
 せっかくの懺悔の時間、無駄にしやがって。それだけでも罰が当たるぜ?
 さぁ、いと罪深き虫ケラよ。
 数多の命を奪った己の罪、虫籠の中でせいぜい悔いるが良い。
 じゃあな。運があればまた会おうぜ。
 神様がアンタをお救い下さいますように……
  
 
 
 

 
 
 
アヤセ
【イラスト/桜井嬢】


■ 名前/アヤセ
■ 種族/クロメ
■ 性別/男
■ 年齢/19歳
■ 身長/172cm
■ 職業/フリーの賞金稼ぎ(モンスター限定)
■ 一人称/オレ

■ 髪/ハニーブロンドに近い淡い金髪
■ 目/スカイブルー
■ 耳/髪と同じ色
■ 尻尾/漆黒
■ 神父の法衣/喪服のような黒

・ 元神父の賞金稼ぎ。バンリとは協力関係。
・ 二丁拳銃使い。銃には暴徒鎮圧用のゲル弾が装填されている。
・ 完全な魔法使いのバンリとは違い、能力に制限のある不完全な魔法使い。魔法の力を自身の身体能力強化に使っている。
・ 無実の罪で教会から破門されたらしいが、真相は決して語ろうとしない。
・ 今でも厚い信仰心に変わりはない、と本人談。
・ 毎朝、ロザリオの祈りは欠かさない。それがアヤセの魔法の源。
・ 常に少量のお酒が入った状態。軽度のアルコール中毒。
・ 明るい皮肉屋。生意気で憎めない小悪魔。色々と吹っ切れたある意味“大人”
・ 企業人が大嫌いで、千紗への敵意を隠さない。バンリが千紗と付き合っていることも、良く思っていない。
・ 実は『綾瀬』という本名を持っているとかいないとか。
 
 
 

 
 
■ 唐突にですが、新リヴ登場であります。G-livの方では一足先にお披露目しましたが、こちらでも改めて。
クロメのアヤセと言います。脳内子です。
ミズリがTPRGで使っている一番のお気に入りキャラで、もっと活躍させてみたくて、クロメの子として転生させてしまいました。
うん、どこかで見たような見た目と設定なのですが…… 最初モデルにしたのはあの子だったはずなのですが…… TRPGで扱っているうちに、何やら別人のようになったという……

■ クロメのアヤセは、19歳の元神父。
教会を破門された身でありながら、未だに神父の法衣に身を包んでいます。
得意の二丁拳銃は、教会にいる時に仕込まれたもの。教会の影の部分で育ってきた子なので、今こうして都会の闇を駆けることにも躊躇いはありません。
ただ、誰の保護のない『野良猫』になってしまったことは、自由で良いと開き直る反面、それなりに辛いと思っているようです。
ヒナタからの紹介でバンリと知り合い、時々一緒に仕事をするようになりました。
一応、バンリには一目置いています。
BLが基本のうちのブログですが、今のところアヤセはお相手いません。フリーの状態。
今でも自分は神父だと思っているので、恋愛する気はあんまり起きないのかもしれない……
アヤセデフォルト.jpg
デフォルトだとこんな感じ。
お日さま色の髪の、小悪魔な猫ちゃんです。
今後ちょこちょこっと出てくるかと思いますので、どうぞよろしくお願いしますー。

■ ところで、今週のヤミー。
家庭菜園シリーズ可愛いですねー^^ ちょっと欲しいけど、でもうちの子に家庭菜園やりそうな子はいないなぁ……;
ビーズの指輪帽子は、ちょっと心惹かれますけど。
んー…… 今週は我慢?



 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「アヤセ君……!」
 背後からの声に、アヤセは素早く振り向く。
 ひとつに束ねたその髪が、ふわりと大きくたなびいた。あたかもそれは、都会の闇に射した月光のよう。だが、そのブロンドの色は、陽だまりのような金だ。
 駆け寄って来た男に、アヤセはトンッと背中を合わせる。
 それを合図に、男は手にした杖を振りかざすと、口早に呪文のような物を唱えた。
 直後に響き渡る、乾いた銃声。
 だが、銃弾は見えない壁に吸い込まれ、アヤセの数センチ手前でぼろぼろと地面に落ちた。
 ヒュウと、アヤセは口笛を鳴らす。
「おおっと…… オレとしたことが、油断するとこだったぜ。サンキュー、バンリ」
「いいえ、お気になさらず。と言っても、アヤセ君でしたらこれくらい余裕で避けていたでしょうけどね」
 ふふっと笑みを洩らして、バンリと呼ばれた男は、顔だけをアヤセに向けた。
 サラリーマンのようなスーツ姿の上にあるのは、女のように整った眼鏡面。今まさに銃弾に晒されていると言うのに、その穏やかな微笑みは、まるでカフェで談笑でもしているかのようだ。
 全く、恐ろしく場慣れした男だ……。
 頼もしい助っ人に、アヤセはニッと笑って見せた。
 それは、バンリのような品の良い微笑みではない。まるで、獲物を目の前にした猫がにゃぁおと舌なめずりするような、どこか小悪魔的な微笑。
 そう。こなしてきた場数なら、こっちだって負けてはいない。
「いいさ…… いちいち避けて回るのも、疲れるしな」
 くくっと喉を鳴らして、アヤセは獲物を握り直す。
 白いその手にあるのは、無骨な大型拳銃。アヤセの細い体付きには、あまりにも相応しくない武器。
 だが、アヤセはそれを軽々と振り上げる。まるでそれが身体の一部であるかのように。
 闇夜に吹く風にはためく、漆黒の法衣。
 拳銃を握った腕を十字に交差させ、アヤセはすっと息を吸った。
「いいぜ、バンリ。シールド切ってくれ」
「はい。では、五秒後に解除します」
「了解」
 背中で始まる、静かなカウントダウン。
 見えない暗闇を透かすように、アヤセは目を細める。
 見えない?
 いや、ちゃんと見えている。
 銃弾が防がれたことに驚き、慌てて銃を構え直す魔物共の様子が、自分には見えている。そう“教えられている”。
「神様、神様、全ては御心のままに……」
 そっと、アヤセは目を閉じた。
 信じている。オレの神様は、オレを裏切らない。そう信じてる。
 だから、オレの身には魔法が宿る。
 神様、貴方のご加護に感謝します。
 そして、願わくば…… オレのこの銃弾が、罪深き魔物の眉間にズドンと撃ち込まれることを。
「1…… ゼロ。解除します」
 バンリの声が宣言し、周りを覆っていた魔力がパンッと弾ける。
 その瞬間、アヤセはしなやかに跳躍した。
 それはまるで、闇夜の猫。もう戯れの時間は終わった。本気で獲物を仕留めようと駆けだした猫。
 背後で響く稲妻の音を聞きながら、アヤセはドカッと壁に足を突いた。
 その陰で、銃を構えた魔物がびくりと身を竦ませる。
 銃口が狙っているのは、何もない虚空。
 アヤセは、ニヤリと唇を吊り上げた。
「残念だったな、虫ケラ」
 銃を突き付け、引き金を引く。
 バンッと軽い音がして、魔物は吹き飛ぶようにして後ろに倒れた。だが、その額から血しぶきは上がらない。
 先端のつぶれた弾が、ころころと地面を転がった。
 それをつまらなそうに蹴り飛ばして、アヤセは振り返る。
「バンリ、そっちはどうだ?」
「ええ、こちらも終わりました」
 そっと眼鏡を押し上げて、バンリもアヤセの方を向く。
 その杖が指す先には、うっすらと煙を上げる魔物が倒れていた。焦げたのは、革ジャケットの表面だけ。その煙も、すぐに消える。
「相変わらず見事なお手並みですね、アヤセ君」
「あはは、アンタこそ。そのクールさ、惚れ惚れするぜ」
「ふふっ…… 僕こそ、うっかり見とれてしまいそうでしたよ?」
 そんな戯れを言いながら、アヤセとバンリは笑い合う。
 バンリは、穏やかにくすくすと。
 アヤセは、無邪気にケラケラと。
 魔物達が転がる路地裏で、神父とスーツの男が笑い合っているという光景。雲の切れ間から覗く月が、その異様な光景を優しい光で照らし出す。
 そこへ、一人の足音が近付いて来た。
 それに警戒することなく、二人は振り返る。
「よぉ、マリィちゃん、アヤセ。無事終わったみたいで何よりだ」
「ああ、ヒナタさん。お疲れ様です」
「待たせたな、ヒナタ。アンタの仕事ちゃんと作ってやったぜ?」
 やってきたヴォルグの男を、アヤセとバンリはそれぞれの笑顔で迎えた。
 それはまるで、愛らしい二匹の猫。
 その微笑みに思わず苦笑しながら、ヒナタは小さく肩をすくめると、手に持った拘束具を魔物達に掛け始めた。
 
 
 
 
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